今回の九州人は、宮崎県小林市で世界が注目する革新的なサーフボードを生み続けている山元智博さん。
山元さんは意外や意外、「海のない小林市」でサーフボードを製作しているサーファー。
海の近くに住んでしまうと仕事が手につかないという、なんとも海好きらしい理由である。
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「kiriflex(キリフレックス)」とは
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山元さんが作る「kiriflex(キリフレックス)」とは、サーフボードの中心に入っている補強材である「ストリンガー」と呼ばれるパーツのブランドのこと。
写真を見ていただきたい。サーフボードの中心に真っ直ぐに入っているラインが「ストリンガー」である。
ストリンガーが違うことによって何が変わるのか山元さんに伺った。
「サーフィンの醍醐味でもあるボトムターン、トップターン、様々なターン性能がかわります。つまり、サーフィン中に生じるスピードや反発性が保たれる状態が長く、技を繰り出す時間に敏感な反応をボードに伝えることが可能になるんです。人によって変わるんですが、MOANALOLO SURFBOARDS(※1)でのオーダーはサーファーの技量、体重によってストリンガーサイズをカスタムするんですよ。CORE FOAM JAPAN様より販売されているブランクスでもカスタム可能ですが、各ブランクスに標準搭載されているストリンガーは何回もテストを繰り返しビギナーからエキスパートまで幅広く使用して頂いています。」
※1 「MOANALOLO SURFBOARDS」とは山元さんがシェイパーとして考案したサーフボード
サーファーからは、今まで出来なかった技が出来るようになった、今まで感じたことのないスピードを体感できるようになった、今まで挑戦できなかった波に乗れるようになったとかなり嬉しいお声をいただくそうだ。
サーファーの技術には欠かせないストリンガーだが、山元さんはそんなこだわりのストリンガーに宮崎産の桐の木を使い「kirifrex(キリフレックス)」と名付け2014年に実用新案特許を取得。
「桐」と「反射的」という英語の“Reflex(リフレックス)”をかけてこの名前をつけた。
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「kiriflex」 誕生秘話
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今では全国の60%のシェアを占める「kiriflex(キリフレックス)」。
それを作るきっかけとなったのは山元さん自身の経験からだった。
2008年の春、あるメーカーにサーフボードをオーダーしたところ、ボードの形が左右非対称のものが出来上がってきた。お金を出してオーダーしたものの納得のいかないものが出来上がってきてしまい、「それならば自分でサーフボードを作ろう!」と思ったのがきっかけだそう。
様々な木があるなかで、名前にもなっている「桐」を選んだ理由を山元さんに伺ったが、山元さんのご祖父様とお父様の「桐がいいんじゃないか?」というアドバイスですべてが始まったそうだ。何事も挑戦する性格の山元さんは早速桐を挟み込み波に乗り、「すげえのができた」とその時の感覚を今でも覚えているらしい。
桐を使ったストリンガーに挑戦した人はこれまで数多くいたのだが、昔は高級資材であったこと、また十分に乾燥するのが難しいことを理由に誰も成し遂げたことのない技術であった。
山元さんが「kiriflex(キリフレックス)」を作ることができたのはご実家が元々製材所だったため、乾燥させる技術とノウハウがあったことが大きい。
桐のすごさを山元さんはこう話す。
「軽いのとねじれに強いこと。桐の特徴で一番いいのは、ねじれから反発して跳ね返ってくるスピードがダントツに速いことです。重い木はねじってもゆっくり戻ってくるんです。」
こだわりのポイントを伺うと、
「ポイントは木目。桐の木には様々な木目がありますが、ストリンガーに使用できる木目部分は限られた部分だけです。詳しくは企業秘密で話せませんが!」と笑いなが話してくださった。
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今後の目標
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最後に今後の目標について伺った。
「made in JAPANのサーフボードクオリティーは世界から見ても一目置かれる商品が多く素晴らしいので、日本のサーフボードメーカー様のボードが日本中の海でサーファーの相棒として活躍してもらう事を願いつつ、1本でも多くのkiriflexが使用されることが願いです。そのためにももう少し、頑張りすぎず、楽しみながら頑張っていこうと思います。」
宮崎県小林市には、確かな技術を持った熱い職人がいる。
▼プロフィール▼
山元智博。海のない小林市で世界が認める革新的サーフボードパーツ「kiriflex(キリフレックス)」を生み出す。現在は全国の60%のシェアを占めており、世界一のシェアを目指して奮闘中。