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Vol.6【福岡県八女郡】伝統と革新の共存。世界で輝く久留米絣の「坂田織物」:坂田和生

九州魅力人 #福岡 #久留米市 #衣料品
日本三大絣と呼ばれる「久留米絣」の伝統を引き継いでいくため、あえて新しいことに挑戦し続ける坂田さん。
生活にとけこむ絣とは。職人の思いと絣の可能性を感じられるストーリーです。

 

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今回の九州人は、福岡県八女郡「坂田織物」代表の坂田和生さん。

久留米絣の伝統と革新を融合させながら、時代が移り変わっても愛される絣商品を作り続ける職人である。

 

 

 

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「久留米絣」とは

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まず初めに、「絣」とは日本を代表する伝統的な木綿織物。

伊予絣、備後絣、そして久留米絣は日本三大絣として1960年代までは和服用の反物やもんぺとして仕立てられ着用されていた。

 

坂田さんが作る久留米絣の特徴には、くくり染めをした経(たて)糸と緯(よこ)糸をあわせた複雑な柄の素晴らしさと、着るたびに肌になじむ風合いのよさが挙げられる。

この複雑で高度な伝統技法は無形文化財にも指定されているほどだ。

 

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絣が出来上がるまでの作業は、括り・染・織がメインだが細かく分けると30工程ほどある。

どの工程も絣を知り尽くした職人が作業するのだが、期間にして2ヶ月ほど要す。

 

職人が時間をかけてひとつひとつ作り上げていくため、それぞれに凹凸感があり使うにつれて表情を変え風合いが出てくるのが坂田さんの絣の魅力であるのだ。

 

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ニューヨークでの経験と気付き

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坂田さんが2年勤めた大手アパレル会社を離れ坂田織物へちょうど入社した時、組合や商工会が国の事業で絣をフランスへ持っていくことがあったそう。

日本にいた坂田さんが聞くにはそれが大変好評だったようで、坂田さんは「次は自分も」と胸が高まっていた。

 

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そしてついに、2017年「坂田織物」として単独でニューヨークのビックサイト商談会に参加した。

しかし期待とは裏腹、ニューヨークでは全く絣が売れない。

その時を振り返り坂田さんは、

「海外の市場規模の違いを感じました。そしてまず絣を知っている人は全体で見ると非常に少なく、 これまでは主に絣を知っている人にしかプロダクトの提供や魅力の訴求をやってこなかった。それは日本も海外も同じです。それにより市場規模は小さくなり、 産地は必然的に縮小しているのが現状です。」

それからというものニューヨークでは商談をやめ、代わりにテキスタイルを持ち学校をまわって授業をしたり、時にはインフルエンサーに絣を持ち帰らせたり、絣を知らない人にこそ知ってもらう活動に力を入れた。

 

そして日本では、絣に興味を持たなかった方々に坂田織物への動線を作りたいと、「食」をきっかけに「絣を知ってもらう施設」として2022年夏にカフェをオープン。

 

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「プロダクトから入りがちなのですが、まずは絣を身近に感じていただくことが大切なんです。何気なく生活に溶け込むもの・・・。それに僕の思いが込められているんです。お客様がコーヒーを注文してくださるでしょう?その時に使用するコースターには絣を使用しているんです。しかも、グアテマラの豆を使っているときにはグアテマラの絣、インドネシアの豆を使う時はインドネシアの絣を使いたいと思っています。食から始まり、絣に興味を持ち、その場で買うこともできる。とにかくまずは絣を生活の中に自然に取り入れて、身近に感じていただきたいんです。」

 

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絣のテーマパーク構想

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坂田さんは「絣のテーマパーク構想」を掲げる。

 

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絣に興味を持たなかった方々に坂田織物への動線としてカフェを作り、食をきっかけに「絣を知ってもらう施設」。

国内外にある絣産地の特徴や歴史を学べる絣ミュージアムのような「絣を学べる施設」。
絣の新しい提案を模索し、 各産地の技術共有や加工請負を行う絣ラボのような「絣を作り続ける施設」。

それらを含めて絣のテーマパーク構想としていて、消費者・作り手が坂田織物に集まり、ここに来れば「絣がわかる」 企業を目指しているのだ。


そしてもっと訴求を広く強化する為、2023年の1月末には久しぶりにNYへ行きデザイン学校での特別授業も予定しているという。

 

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伝統と革新の共存、坂田織物を一度訪れてみてはいかがだろうか。

 

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▼プロフィール▼

坂田和生。大手アパレルブランドに2年勤め、2002年25歳の時に実家の坂田織物に入社する。2013年新ブランド発表、2017年ニューヨーク進出、そして2020年には重要無形文化財技術伝承者となる。

坂田織物 cafe & shop: 福岡県八女郡広川町長延602

TEL.:0943-32-1402

 

 

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