今回の九州人は、福岡県春日市に店をかまえるパティスリールイの店主、吉村類さん。

2003年に熊本県阿蘇郡小国町に製菓工房を開業し2011年には福岡県春日市に店を移転しオープン。

お昼には売り切れることもある大人気店で、イベントや百貨店催事などにひっぱりだこの吉村さんにお話を伺った。

 

 

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独立後の苦悩。そして・・・

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学生時代はスイーツの勉強をしていた吉村さんだが、フランス留学から帰国後はフレンチで有名な店で働いていた。　

「お菓子のほうがより身近で、かつお手頃。もっと多くのお客様に食べていただきたいという思いと、父から阿蘇小国でスイーツの卸の仕事をしないかとタイミングよく話がきてパティシエになった」ときっかけを話してくださった。

小国では喫茶兼パティスリーでお店をオープン。ジャージー牛乳を使ったプリンなどを道の駅へ卸し生計を立てていたという。

いずれは福岡でお店を持ちたいという思いと、家族を食べさせていかなければならないという思いが入り混じっていたのもこの時期だった。

そんなときに吉村さんのお父様が他界。住宅街の中であったが、実家があった春日市で店を始めることを決意した。

 

 

2011年10月にオープンし、11月、12月は小国からお客様が来てくださったりクリスマスの時期でお店は賑わったが、年を越すとお客様は激減。

今のパティスリールイからは想像もできないが、お客様が全くこない日もあったという。

そのときに常連のお客様から、「最近の類君のケーキはキレがないよね」と言われたそう。その時吉村さんはハッとした。自分では意識していないつもりでも、振り返って考えるとたしかにそうだったなぁと思ったそうだ。

 

 

それから吉村さんは、自分が自信を持って美味しいと思えるものを作ることに専念。

そのタイミングでテレビの取材が入ったことで再度お客様が来店してくださるようになった。

同時に市内の百貨店催事にも呼ばれ、自分の作ったケーキが福岡のショーケースに並べられ、それをお客様に見ていただけるのは感慨深かった。「自信を持っているものが売れるようになったことはとてもありがたく、嬉しい」と話してくださった。

 

 

 

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『分解再構築』という美徳

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吉村さんが作りたいケーキとはなにか。ケーキを作る際気をつけていることを伺った。

「その時の流行りのスタイルで作ることもたまにありますが、それとは逆の新しい発想で作りたいと思っています。そして、自分が自信を持って美味しいと思えるものを作る。よく『パティスリールイのケーキってきれいですね』と言われることがあるけど、僕は粗さがキレイだと捉えている。きれいにクリームが塗られて、決まった場所にフルーツが乗っているんじゃなくて、僕のケーキはよく見ると一つ一つの表情が違うんです。」と話してくださった。

 

 

「そして僕は、俗に言う『分解再構築』が好き。既にできているものを組み合わせてケーキを作るのではなくて、例えば柑橘類なら皮・果肉・果汁と分解してそれぞれ手法を変えて手を加えたものを一つのケーキとして再度組み立てる、そういうプロセスが好き。一つのものを丸ごと、ロスなく、無駄なく使い切るところに美徳を感じます。」

 

 

 

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ケーキづくりへのモチベーションと思い

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次々と新しいケーキ作りに挑戦する吉村さんに、どういうときに新作が思いつくのか伺った。

「その時によりますが、使いたい『素材』がある、こういう『見た目』が作りたい、あとは『インスピレーション』。音楽を聞いたり、本を読んだり、映画を見たりしてたら作りたいものが頭の中で浮かんできますね。環境としては家じゃなくて、ちょっと散歩したり、公園でぼーっとしてるときのほうが頭が働く感じがします。そして使いたい素材があれば、１週間しか店頭に並ばないとしても作る。」と話す。

 

 

そんな吉村さんに、パティシエになって良かったと思う瞬間を聞いた。

「生産のプロ、販売のプロなどすべての業界のプロフェッショナルと出会って話しができる瞬間ですね。それとやっぱり、自分で考えたものを売って生活ができるのはとても嬉しいし、恵まれてると思う」と話す。

 

 

「僕は現状に満足しない。『作らなきゃ』じゃなくて『作りたいな』というモチベーションだから、どんどん新しいものを作ってる。これがパティスリールイ。若い人に負けず、若い気持ちでやる。やれるとこまではやるつもりです」。

 

 

 

▼プロフィール▼

吉村類。2003年から2011年まで熊本県阿蘇郡小国町でパテスリールイとして営業し、2011年10月27日に福岡県春日市岡本に移転。夕方にはケーキが売り切れてしまうほど人気店。現在では百貨店催事やイベントにも出店し福岡でも有名なパティスリーである。

営業日：（木）、（金）、（土）、（日）、（月）の10:30-18:00。詳しくはフェイスブックやInstagramをご覧ください。
電話：092-558-8083

ウェブサイト：https://www.facebook.com/pati.rui