“ひと”に出会う

Vol.7 【鹿児島県鹿児島市】日本一から世界一への挑戦。ジェラートマエストロコンテスト2022優勝:本多エリカ

九州魅力人 #鹿児島 #鹿児島市 #フード
日本一のジェラート職人を決定するコンテストで2022年に優勝した、鹿児島県鹿児島市「Sweet Sweets」のシェフパティシエ本多エリカさん。
母として・・・。パティシエとして・・・。本多さんがスイーツづくりにかける想いとは。

 

 

今回の九州人は、鹿児島県鹿児島市「Sweet Sweets」のシェフパティシエ本多エリカさん。

日本ジェラート協会が主催の「ジェラートマエストロコンテスト2022」で日本一に輝いたパティシエである。

 

画像

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

ジェラートマエストロコンテスト優勝

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

日本ジェラート協会が認定するジェラートマエストロが、決められたテーマに沿ってジェラートを製造してその技量・知識・こだわりを競うのが「ジェラートマエストロコンテスト」。

2022年は開催5回目となり、全国各地から日本一のジェラート職人を目指すマエストロが参加した。

 

画像

(最終選考に残ったマエストロの作品の一部)

 

2022年のテーマは「千の味 癒しのジェラート」。

本多さんがこだわったのは、生まれ育った地元鹿児島ならではの素材を使用し「地産地消」や「地元食材のPR」をすることだったという。

鹿児島知覧茶の紅茶、地元の4種フルーツを使用したフルーツティージェラートを製作し、「癒し」の部分は桜島や錦江湾の夕景をイメージした色合いで表現。

その結果鹿児島の素材をたっぷり使った作品で見事初優勝することができた。

 

画像

(ジェラートマエストロコンテスト2022優勝)

 

画像

(本多さんの優勝作品「知覧紅茶のフルーツティー~Kagoshima sunset~」)

 

優勝したジェラートを店頭でいただいてみた。

 

画像

(探検隊がいただいたジェラート3種)

 

舌触りはなめらかでさっぱりしたフルーツジェラートかと思った瞬間、鼻の奥に和紅茶ならではの柔らかい香りがする。

女性マエストロらしい優しいジェラートである。

 

今では多くのお客様に愛される商品が並ぶ店頭だが、これまでの道のりは簡単なものではなかったそう。

 

 

 

ーーーーーーーーー

パティシエへの道

ーーーーーーーーー

 

3人の子育てのため前職の看護師をやめた本多さんは、家計の足しにとお菓子屋での接客販売業務を始めた。

当時その店では製造スタッフが急に不足したため、オーナーの「作る方を手伝ってもらえないか?」という一言でパティシエへの道がスタート。

「オーナーの技を近くで見ていると、段々とプロが作るケーキに魅了され、作る楽しさを少しづつ実感し始めたんです」と話す本多さん。

この時に「小さなお店でいいから自分のお店を開きたい」という夢が生まれたそうだ。

 

「本格的に菓子を学ぼうと思って正社員で雇ってもらえないか何件か菓子屋の門をたたいたのですが・・・。当時のケーキ屋は多忙で、急に休まれると困るという理由で子持ちの主婦をまともに雇ってくれるお店はありませんでした。そこでパートアルバイトの身軽さを武器にカフェやイタリアンレストランのドルチェ、菓子コンサルタント業など複数の菓子製造業を経験しました。もちろん帰宅後も子供が寝てから独学でお菓子を作ったり、参考書を何度も何度も繰り返し読んだり、お菓子ノートを作って自分のお店のイメージを膨らませる、そんなパートアルバイトの8年間でした。」

 

画像

(創業当時の店舗写真)

 

「34歳で起業し雇われから雇い主になり、好きなお菓子を作るだけじゃない大変さを身に染みて感じました。専門学校で学んだわけでもなく、菓子屋でのしっかりとした下積みが長くあったわけでもない私は、一大決心を大失敗にしないためお店を始めてからも勉強が必要でした。たかが主婦が趣味で始めたお店、と罵られたこともあったんですよ。」

と起業した時の大変な思いを話してくださった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

夢と子育ての両立

ーーーーーーーーー

 

起業後はとにかく朝から晩までがむしゃらに働いていたという本多さん。

 

画像

(創業当時のスタッフとともに)

 

「子どもたちが小学生の時に起業したので、きっと母親のいない生活に寂しい思いをさせてしまっていたと思います。夜中に帰宅するとテーブルに置手紙が置いてあって『寂しいけど頑張ってね』の子どもたちからの言葉に涙することもありました。それでも子ども達には『お母さんはケーキ屋さんをしてるんだ!』と自慢できる母でいたかったので、朝早くから夜遅くまでプロになるための努力を惜しみませんでした。

でも、どんなに忙しくても子どもたちの誕生日だけは時間を作り、『世界に一つだけのケーキ』を作って家族全員でお祝いをしていました。

今、娘たちも大人になり当時を振り返って『寂しかったけど頑張るお母さんが自慢だった!』と笑顔で言ってくれます。支えてくれた夫と、背中をちゃんと見てくれた子どもたちに感謝しかありません」。

 

画像

(日常の作業の様子)

 

夢の実現と子育ての両立は並大抵のものではなかったはずだ。

当時のがむしゃらに働いていたご自身へなんと声をかけるか尋ねると、

「寝たら忘れる都合のいい性格で、思い出はいっぱいあっても都合の悪いことはそんなに気にしてないんです。今があるのは昔の私のお陰。きっと天職でした。やり続けてよかったよ、と言うかもです。」

と答えてくださった。

この持ち前の明るい性格と、前向きさが楽しみながら両立できた秘訣だろう。

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

女性が喜ぶ店舗づくり

ーーーーーーーーーーー

 

夢と子育てをともに経験した本多さんだから感じること、そしてできる店づくりがある。

鹿児島市内にある店舗の中に入ってみると、ショーケースはもちろん壁面にも目が行く。

そして店内には女性のお客様が多い。

 

画像

(店頭写真)

 

これを本多さんに伝えると、装飾にピンクやハート柄を多用しているのは、“女性パティシエがつくるスイーツで女性に元気になってもらいたい”という思いからだと教えてくださった。

「私自身3人の子どもを持つ母親。毎日頑張っている女性を応援したいんです」と思いを話してくださった。

 

画像

(店内奥カフェスペースの写真)

 

画像

(店内のショーケースに並ぶ数々のケーキ)

 

今やケーキは、百貨店や個人店、コンビニエンスストアでも販売されている。

そして、安くてもおいしい商品がたくさんある。

そんな中、このお店で負けないことを本多さんに伺った。

 

「自身の娘たちへの経験もあり、『大切な記念日をより良いものに』とオーダーのデコレーションケーキはオープン当初からこだわっていました。当時ちょうどコンビニやフランチャイズのケーキ屋が徐々に進出し始めていました。クオリティが高く、安くて美味しいケーキは当たり前になってきて・・・。そんな中で、『大手には難しくて私に出来ることを頑張ろう』と思ったのがデコレーションケーキでした。お客様の希望に沿ったお誕生日ケーキや記念日のケーキは毎日止まることのない予約に繋がっています。」

 

画像

(店頭に並んだオーダーのデコレーションケーキ)

 

「そして何よりのこだわりは鹿児島の素材を使った地産地消のスイーツ。今年は大好きな鹿児島の良さを最大限に生かしたジェラートで日本一に輝きました。好きなことややりたいことを形にすることは簡単なようで難しいこと。いつも自分に言うのは“やるかやらないか”。やりたいことを続けることが、結果として私のこだわりと他店に負けない気持ちの強さだと思います。」

 

画像

(鹿児島の素材を全8種盛り込んだ『鹿児島缶光』)

 

 

 

ーーーーーー

今後の目標

ーーーーーー

 

「子供たちも大きくなったので、今後は違う意味で自分の為に頑張ってみたいと思います。日本一から世界一に。2023年1月のジェラートの世界大会にチャレンジします。やれることを今!!」

 

 

 

▼プロフィール▼

本多エリカ。日本ジェラートマエストロコンテスト優勝、ヴァンドゥーズ/野菜ソムリエ取得、ジェラートマエストロ、日本ジェラート協会理事を務める。

3人の娘を持つママパティシエ、そしてジェラート職人として2022年に日本一に輝く。

店舗情報:鹿児島市与次郎1丁目11-1

電話:099-298-1177

営業時間:10:00−19:00

ウェブサイト:https://peraichi.com/landing_pages/view/sweetsweets46/

PAGE TOP